ファミリーホスピス鴨宮ハウス
■働きやすい高齢者住宅内の訪問看護ステーション
今回は神奈川にあるファミリーホスピス鴨宮ハウスの高橋代表と看護師である戸松管理者にインタビューを行いました。このファミリーホスピス鴨宮ハウスは、高齢者住宅に訪問看護ステーションを組み合わせた住宅です。これまでは、地域の住宅に訪問看護を1軒ごとに行うステーションの管理者にインタビューを行っていました。今回は施設内の訪問看護ステーションの管理者にインタビューを行っています。施設内で看護師がケアを行うため、従来の訪問看護に比べ、重度者に対応することが容易になります。重度者対応が可能な今後、注目される高齢者住宅と言えるでしょう。
戸松管理者がファミリーホスピスに関わることになったきっかけは、ここの働き方が今の自分に合っていたと言います。まだ子供の学校で委員をしなくてならない、また土日に子供に対して割く時間が多い。だからできるだけ日勤が中心の勤務形態であれば良いと思われていたそうです。24時間対応が当たり前のようになってきた訪問看護ステーション。また在宅で重度者を看るようにしたいという国の思惑もあり、土日の訪問や夜間の緊急対応が訪問看護師に求められていることも事実です。
■病院と似たシフト・在宅の考え方
ファミリーホスピスのように高齢者住宅に訪問看護ステーションを組み合わせることができれば、看護師を24時間配置することで、働く看護師の負担を大きく減らせることが可能です。つまり病院や高齢者施設に似た勤務形態になります。戸松管理者も面接で説明を受けるまで、訪問看護ステーションであることを知らなかったと言います。ただ看護師が24時間配置していても、病院とは違うと戸松管理者は言います。病院で働いているときは兵隊のように業務をこなしていました。ファミリーホスピスは住宅だから、訪問看護ステーションで働いているときのように家族と向きあう時間が長いと語ってくれました。
訪問看護ステーションではご本人と家族と話すことで、医療行為以外のことも考えて実行するようになりました。ターミナル患者のケアを行う中で、どうしてもご本人がもう一度だけ温泉に行きたいと言っています。ただ家族はリスク等を考えて反対しています。それを看護師が同行することで、病状を管理でき、温泉に行くことが出来ました。実は2回目の温泉があって、その時はご本人とご家族が最初から最後まで不安なく旅行に行けました。
■心を持って本人と家族に向き合う
最後に戸松管理者は教えてくれました。在宅の良さばかりに目がいきがちだけど、在宅には在宅の不安がある。病院のように医師がいない、自分自身の知識や経験が必要になってくることは多い。ただ在宅にきて、変わったことがあります。病院では、当たり前のように受け止めていた患者の死。訪問看護ステーションで働くようになってから初めて、患者の死に対して涙が流れました。
病院のような勤務形態が可能でも、在宅のこころが根付いている。こういう事業ができるのは、医療者以外の発想が必要だと筆者は思いました。既存の問題点を解決するビジネスモデル、それを社長という立場で支える高橋代表。このファミリーホスピス、YouTubeで映像を交えて公開されています。こういった取り組みも医療者以外の発想だと思います。働く人も、ケアを受ける人も、全ての人に公開されています。ここでも以下にリンクを付けておりますので、みなさまご覧下さい。
■ファミリー・ホスピス鴨宮ハウス
代表者:高橋 正
住所:〒256-0817 神奈川県小田原市西酒匂2-5-10
TEL:0465-46-9966
URL:http://f-hospice-kmm.com/index.html