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訪問看護師に必要とされる営業力とは?

病院に勤める看護師と訪問看護ステーションに勤める看護師の違いは何でしょうか?働く場所や設備、必要とされる経験などいろいろなことが考えられますが、ステーションを運営する上で一番大切なことは営業力ではないでしょうか?

 訪問看護ステーションでは待っていても、患者はやってきません。制度上、医師がいて外来を受け入れる場所ではないため、ステーションがケアする患者は自分たちで病院や居宅介護支援事業所に行き患者を紹介してもらう必要があります。病院で働いていたときは、緊急や外来などがあり、こちらが頼まなくても患者はやってきました。ベッド稼働率が低い病院でも看護師の営業力に力を入れているところは少ないでしょう。病院の中で働く看護師にとって営業力を求められることは滅多にありません。

看護師の営業力とは?

 訪問看護ステーションは営業力が重要です。では訪問看護師にとって営業力とは何を指しているのでしょうか?私は営業力を3つに要素から構成するものだと思っています。

① 演技力

② 洞察力

③ 地域についての知識

 今回のとよみのミカタでは①について話をします。演技力とは一般的に役になりきって振る舞うことです。訪問看護師であれば、あなたのステーションの理念や方向性を理解した上で、病院の地域連携室にいるソーシャルワーカーや居宅介護支援事業所のケアマネージャーと話をする力を指します。

 訪問看護ステーションをオープンして「訪問看護ステーションをオープンしました!地域の患者を看ていきますので、困っている患者を紹介してください!」これでは誰もあなたのステーションに患者を紹介してくれません。実績もないステーションが患者を獲得するためには、ステーションで働く看護師が説得力のある話をする必要があります。例えば、「うちのステーションではターミナルの方を主に看るステーションです。私も病棟勤務時代、内科で働きターミナルの患者をケアしてきました。大腸がんの方は・・・」というようにまずは自分のことを経験を踏まえながら話すことが重要です。

看護師の営業力を計る方法

 ではあなたは管理者として看護師の演技力をどうやって見極めたらいいのでしょうか?普段の会話からでもある程度判断することができますが、ステーション内の職員でチームを作ってロールプレイングをするとよく分かります。私は立ち上げたばかりの訪問看護ステーションの指導等で現地に行くことありますが、教えた内容がしっかり伝わっているか確認するためにロールプレイングをよく行っています。例えば、居宅のケアマネに営業をするときを想定したロールプレイングがあります。4人が1チームになります。それぞれ役割は、ステーションの看護師とその居宅のケアマネ、事務、患者の家族といった設定です。

 本来は看護師の営業力を鍛えることを目的としたロールプレイングですが、開始すると看護師以外の役割の人、ケアマネや家族の役割をしている人にもアドリブをきかせた人が現れます。ロールプレイング前にはある程度の設定(患者の疾患状態や家族の収入状態など)をしますが、細かい設定まであえてしません。そういうときに演技力のある人はアドリブで細かい設定を自分で決め、そのロールプレイングを良い意味で盛り上げてくれます。

 先日行ったロールプレイングでは患者の趣味が近くの○○公園までの散歩で、部屋からの見える銀杏の木が彩を増している設定を加え、よりリアルなロールプレイングになっていました。このように必要だと思った細かい設定を加えられる人は、営業の場であっても相手の小さな変化に気づき質問をして、話を展開することができます。

 どんなに良い理念を掲げたステーションであっても、患者がいなくては意味がありません。サービスを提供する中で理念は地域に浸透し、その理念が新しい患者を呼びます。ただ最初から理念を理解してくれようとする人は少ないです。だから最初は営業力で患者を獲得することが大切です。次回は営業力の後半の要素、洞察力と地域についての知識について話していきます。


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