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ナースコール訪問看護ステーション

■訪問看護に関わるきっかけは病院からの人事移動だった

とよみサロン、今回のインタビュー先はナースコール株式会社で顧問として働く瀧川美知子さんです。訪問看護ステーションに関わること10年以上となる彼女が何故、訪問看護に関わることになったのか?またこれから訪問看護師を目指す方に向けての思いを語ってもらいました。

訪問看護ステーションで勤務することなったきっかけは、総合病院からの勤務移動だったと瀧川氏は言います。総合病院の副看護部長として働いていたので、それまでは普通の看護師でした。病院の看護部から市の訪問看護で働くことになったのです。まだその時代には訪問看護ステーションは少なく、瀧川氏が働き始めることになった訪問看護ステーションも、市にある唯一のステーションでした。

しかも瀧川氏の業務は訪問看護だけに限定されていませんでした。当時、市は訪問看護ステーション以外にも今で言う居宅介護支援事業所と地域包括センターを運営していました。その3つを合わせて在宅センターという名前がついていました。訪問看護を含む在宅センターの管理者、市の課長として働き始めました。

■訪問看護に対する認識が現在とは全く異なる時代

当時は訪問看護がまだ地域に浸透していない時代。表向きには、市の訪問看護ステーションだから医師会のバックアップはあります。ただ医師の中には訪問看護に否定的な考えを持っている方も多く、その医師に協力や理解を求める活動に時間を割いていました。今はどうやって在宅医と恊働して、患者をケアするかということに時間を割く時代です。時代は違うけれども、医師への働きかけは当時から訪問看護の重要な仕事であったことは変わらないようです。

最近は看護師が少なく、どの訪問看護ステーションも看護師募集に苦戦していますが、当時は状況が違っていたそうです。瀧川氏の訪問看護ステーションは、病院からの人事異動でくる看護師が多くいました。看護師不足という問題はなかったものの、他の懸念事項がありました。厳しい言い方をすると、病院から訪問看護にきた看護師は、病院であまり良い評価を受けている看護師でありませんでした。救急のオペ中にパニックになってしまう、適切な医療行為を短時間で行うことができないなど、救急には向かないという評価を受けていました。病院で救急向きではないと評価を受けた看護師が、まだ地域に浸透していない訪問看護で働けるか、多くの人が心配になっていました。

■病院向きの看護師?それとも訪問看護?

病院と訪問看護で看護師が受ける評価はそれぞれで異なると瀧川氏は語ります。その理由は求められているものが違うからです。病院、特に救急では短時間で多くの処置をしなくてはなりませんが、訪問看護では時間をかけて患者の病状と向き合っていくことができます。つまり患者の状態に対して考え、準備する時間があるということです。患者に時間をかけて向き合うことは病状だけでなく、その患者の生活についても考えることになります。病院では医療行為だけを考えればよかったですが、訪問看護では患者だけでなく家族、環境について目を向ける必要があります。患者に寄り添って、生活について一緒になって考える。病院と訪問看護、それぞれで求められているものは異なります。

訪問看護は、病院とは違う難しさがあることも事実です。それは病院とは違い、一人で患者のところに行き、医療行為を行う必要があります。だから訪問看護で働くには、病棟で多くの経験してから働くべきだと言われています。ただ瀧川氏は経験が重要であることは事実だが、ステーションで看護師をバックアップすることの重要性を説明します。

■相談できるボスがいるから、みな安心

「私は訪問看護ステーションの管理者をしていたときは、初回訪問のときは担当の看護師と一緒に患者宅に行っていました。現場のトップが積極的に患者の状況を看護師と共有することが重要です。どんな看護師だって一人で判断することは不安です。チームとして現場に行き、情報を共有することで、看護師の不安を取り除くことができます。」

何があってもステーションの所長に相談できる体制が整っていることが、訪問看護師になって間もない方には重要です。簡単に言えば、最初と最後、問題が起きたときに相談できるボスがどっしり構えているステーションが働きやすいのではと、筆者は感じていました。

■これから訪問看護を目指す方へのメッセージ

「看護師をバックアップする体制が整っている訪問看護ステーションがあります。これから訪問看護を目指す方には飛び込んで来て欲しい。訪問看護で一番重要なことは、患者を好きになれるかどうかです。食べられなかった人が、食べられるようになったことを一緒に喜べるか。患者との信頼関係を築き、その人と一緒に歩いていきたいと思えるかが、訪問看護の魅力でもあります。正直に言うと、私は病院で勤務しているときは偉そうでした。副看護部長というポジションがそうさせていたかもしれません。ただ訪問看護に関わってからは、患者の生活に触れることで、丸くなった気がします」

このインタビューを通じて感じた瀧川氏の職員を思う気持ち。インタビュー後に、お酒を交えながら出てくる会話も併せて、どっしり構えるボスです。不安を取ってあげたいという、看護師として本来持つ優しさを感じつつ、感情を交えながらコミュニケーションする大切さを実感したインタビューでした。ボスはボスらしく。訪問看護でも重要な役割です。


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